GPSRとEPRの国別の取り扱い

ヨーロッパに売るときの「製品安全(GPSR)」と「リサイクル費用の負担(EPR)」— 国別の取り扱い

2026年9月22日 時点

ヨーロッパ・英国へ製品を出すとき、多くの日本企業が同じところでつまずきます。
「代理人を1つ立てたので、これで全部済んだ」という誤解です。

実際には、2つの制度が別々に動いており、必要な数が違うとされています。

何のための制度か 必要な数
GPSR(製品安全) 製品が安全であることの責任者をEU内に置く EU全体で1人
EPR(リサイクル費用) 出した包装・機器・電池の後始末の費用を負担する 売る国ごと

GPSRの代理人を1人立てても、EPRは1か国も終わっていない、ということが起こり得ます。


1. GPSR(製品安全)— 地域で扱いが変わります

売り先 取り扱い
EU 27か国 EUの規則がそのまま効くとされています
英国(イングランド等) EUのGPSRは適用されません。英国独自の制度になるとされています
北アイルランド EU側の規律が効くとされています。「英国だからGPSRは関係ない」は誤りです
米国 EUのような「代理人を置かねばならない」という一般的な法律上の要求は無いとされています。ただし販売先のマーケットプレイスが、規約で米国内の責任者を求めることがあります(法律ではなく、そのサイトの規約です)

1-2. つまずきやすいのは「言語」です

警告や取扱説明は、その製品を売る国が定める言語で出すことが求められるとされています。
日本語と英語だけでは足りない国があります。

売る国 求められるとされる言語
ドイツ/オーストリア ドイツ語
フランス フランス語
イタリア イタリア語
スペイン スペイン語(自治州により他の言語が加わる場合があるとされます)
オランダ オランダ語
スウェーデン スウェーデン語
デンマーク デンマーク語
ポーランド ポーランド語
チェコ チェコ語
スロバキア スロバキア語
英国 英語

2. EPR(リサイクル費用)— まず「3つの種類」に分かれます

① 包装        箱・緩衝材・袋・ラベルなど、商品を包んでいるもの全部
② 電気電子    電気で動くもの、電源やケーブルが付いているもの
③ 電池        単体の電池も、製品に入っている電池も

同じ国でも、この3つは別々に登録し、別々に報告するのが通常とされています。
「ドイツの登録は済んでいます」が、包装だけを指していたという行き違いがよく起きます。


3. 12か国の登録先と、代理人の要否

当社が実際に扱っている12か国です。

国 登録するところ 国内の代理人
ドイツ 包装は LUCID/電気電子・電池は stiftung ear 要るとされる
フランス ADEME が制度ごとに番号を出す(公開簿は SYDEREP) 要るとされる
イタリア 電気電子は Registro AEE/電池は Registro Pile e Accumulatori。包装は国の登録簿がまだ動いておらず、実務は CONAI を通すとされる 要るとされる
スペイン 包装は RPP(環境省)/電気電子は RII-AEE・電池は RII-PyA(産業観光省。役所が別です) 要るとされる
オランダ 包装は Verpact/電気電子・電池は Stichting OPEN 要るとされる
オーストリア EDM ポータルで3種類とも 要るとされる
スウェーデン Producentansvarsregistret(環境保護庁)で3種類とも 任意とされる(下の4-2)
デンマーク DPA-System で3種類とも 場合による(下の4-1)
ポーランド BDO の中の3つの区分 要るとされる
チェコ 包装は EKO-KOM を通すのが実務/電気電子・電池は環境省の登録簿 要るとされる
スロバキア 認可された運営団体(OZV)経由で3種類とも 要るとされる
英国 包装・電気電子・電池とも NPWD(環境庁) 制度そのものが違う(下の4-3)

料金の金額は載せていません。決まり方(重さと素材で決まる、等)は制度として安定していますが、単価は毎年動くためです。


4. 特に間違えやすい4か国

4-1. デンマーク — 「売る前」に登録が要ります

2025年10月1日から本格的に始まったとされています。

最初の販売の14日前までに登録  ← 売り始めてからでは間に合わないとされる
2026年以降は毎年 1月1日〜5月31日に報告  ← 遅れると登録が無効になり得るとされる

代理人については、EU域内に拠点がある会社と、EU域外の会社とで扱いが違うとされています。
日本の会社(EU域外)の場合、電池を直接消費者に売るときに代理人の義務があるとされ、包装・電気電子については同じ書き方の義務は見当たりません。

4-2. スウェーデン — 代理人は「置ける」のであって「置かねばならない」ではない

12か国の中で、ここだけ型が違います。

スウェーデンに拠点の無い会社は代理人を置くことができますが、置かなくても違法ではないとされています。
ただしその場合、会社自身がスウェーデン国内の義務を直接負うことになるとされています。

「ヨーロッパは全部、代理人が必要です」という説明は、この国では正しくありません。

4-3. 英国 — EU型の「代理人」制度がありません

代わりに、2025年8月12日からの法改正により、日本の会社がオンラインマーケットプレイス経由で英国の家庭向けに電気電子機器を売る場合、そのマーケットプレイス自身が法律上の「生産者」とみなされるとされています。

つまり、誰が義務を負うかの考え方そのものがEUと違います。

また包装については、2025年10月に最初の請求が出たとされ、2年目からはリサイクルのしやすさで単価が変わるとされています。

4-4. ドイツ — 電池の法律が変わりました

2025年10月7日から、電池の根拠となる法律が新しいものに置き換わったとされています。
古い法律名で書かれた社内資料や委託先の説明が、そのまま残っていることがあります。


5. どの国でも、この順番で進みます

① 登録   その国・その種類の登録簿に登録して、番号を受け取る
② 加入   その国の運営団体に入る
③ 報告   出した量を「素材ごと・重さで」報告する
④ 支払   重さと素材に応じて負担する
⑤ 表示   国ごとの分別表示・マークを付ける(フランスのマークなど)

12か国に売るなら、これが12か国ぶん、さらに3種類ぶんに分かれます。


6. 実際には、法律より先に「出品停止」が来ます

当社にご相談が来るきっかけで最も多いのは、役所からの連絡ではありません。

マーケットプレイスから「登録番号を出してください」と言われ、出せずに出品が止まったときです。

止まってから登録しても、番号が出るまでに時間がかかるとされています。その間、売上は止まったままです。


7. このページについて

  • 2026年9月22日時点の情報です。制度は動きます
  • 各国の当局・省庁の公開情報をもとにまとめていますが、一般的な説明であり、個別の案件についての助言ではありません
  • 貴社が実際に何をすべきかは、扱う商品・売る国・年間の重さ・販売の形(自社サイトかマーケットプレイスか)によって変わります

ご相談ください

まず「どの国に、何を、年間どれくらいの重さで出しているか」が分かると、必要な作業の量が見えます。

いくつかの質問にお答えいただくだけで、貴社に必要になりそうな範囲を整理してご連絡します。
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